ふたり≒ひとりぼっち

 

母さんが死んでから、俺の生活は辛かった…。

母さんの再婚相手の譜面は晩飯の時ぐらいしか現れない。

そして、俺が作った飯を食べると、決まって『不味い』と言う。

1番落ち着く筈の我が家に居るのが…、とても辛くて苦しかった…。

でも、譜面の前で絶対に涙は流さなかった。

アイツに俺の弱い部分を見せたくなかったから…。

その弱い部分を隠し通すのがどんなに辛くても…。

 

そんな毎日が続いたある日、譜面が晩飯の時間になっても現れなかった。

家の中を探したが見当たらない。

…帰ってきてない…。

俺は父さんに貰っていた先生の名簿のコピーを頼りに電話を掛けた。

符音先生の家、東麻先生の家、盤羅先生の病院、父さんの家…。

でも、どの家にも居ないようだった。

あと掛けていない場所で譜面が出掛けそうな場所は…、

「…加藤先生の家…。」

俺はダイヤルを押した。俺の指は震えていた…。

通話ボタンを押して電話に出るのを待つ。

『はい、加藤ですが…。』

「…ネットです…。」

声が少し掠れていた。

『…どうしました?』

「…譜面が…そっちに行ってませんか…?」

『来てますよ。…何かあったんですか?』

「…今から迎えに行きます…。…出て行くようでしたら…止めてください…。」

それだけ言って、先生の言葉を最後まで聞かずに電話を切った。

…何言ってるんだろう…。

あんなにも嫌いな奴なのに…こんなに心配してしまうなんて…。

俺は加藤先生の家へ向かった。

少しボーっとした頭で、少し道に迷いながら…。

 

40分ぐらい掛かってやっと加藤先生の家に着いた。

外は12月だから寒い。

凍えた指でインターホンを鳴らした。

するとすぐにドアが開いた。

「ネット君…。道に迷いませんでした?」

「…少し…。」

「行き方を教えようと思ったら、電話切れてしまったんで心配してたんですよ?」

「…スイマセン…。…それより譜面は…。」

加藤先生は苦笑してリビングの方へ声を掛けた。

「譜面先生、お迎えが来ましたよ。」

まもなくして譜面が来た。いつもと同じ不機嫌な表情で…。

「…何の用だ…。」

口を開くなりそう言った。

「…晩飯の下準備が出来たから迎えに来た…。」

俺の体は部屋の温かさで凍えてはいないのに震えていた。

「…飯が出来た頃には戻る…。」

「…冷めた飯を食わせたくないから言ってるんだ…。」

「……。」

俺と譜面は黙ったまま動かなかった。

ただ、俺の体はまだ震えていて、吐きそうなくらい胸が痛かった…。

「あの…、もう9時ですし…、戻られてはどうですか…?」

沈黙を破ったのは加藤先生だった。

譜面はため息をついて、

「…仕方ないな…。」

と言うと玄関へ向かった。

「…帰るぞ…。」

と俺の手を引いて…。

 

家に帰ってくると、譜面はすぐに2階へ上がろうとした。

が、俺は譜面を呼び止めた。

「…すぐに出来るから下で待ってろ…。」

譜面は渋々1階に戻り、リビングで待った。

「…今日はオムレツだから…。」

俺は手際よくオムレツを作った。

出来上がったオムレツをすぐにテーブルへ持っていく。

俺もイスに座ったところで譜面はオムレツを口に運んだ。

大体言う事は悲しいが決まっている。

「…不味いな…。」

…酷く胸が痛んだ…。

俺もその不味いと言ったオムレツを口に運んだ。

…不味くはない。普通に美味しい。

だが、俺は譜面にこう答えた。

「…本当だ…。…不味いな…。」

譜面は少し目を丸くしたような気がした。

「…分量間違えたみたいだな…。…本当に不味い…。」

俺は笑った。傷付いてはいた。でも笑った。

心の底からの笑いではないけれど…。

「…不味くて食えたもんじゃないな…。…俺…もう良い…。…ごちそうさま…。…アンタも食べたくなかったら残せよ…。」

俺は一口しか食べなかったオムレツにラップを掛けて冷蔵庫へ入れた。

そのままリビングへ戻らず、俺は2階へ上がっていった。

「…うっ……ぇぐ…」

上がりきらない内に嗚咽が漏れてしまった。

耐えるのはもう嫌だ…。

こんな苦痛はもう嫌だ…。

俺の中の何かが壊れそうで悲鳴を上げていた…。

 

END…?

 

 

*コメント*

え〜?!というような展開ですがこれで終わりです。ゴメンなさい;;

ネットさん泣いてばっかり…;;

書いてるこっちが痛くなる話でした;;

もうちょっと細かくイメージ(妄想)してたのですが、

更に長くなりそうな気がしたので色々カットしてみました。

…私が悲鳴上げそうです…;;

でも、私はハッピーエンド主義なので、

絶対にハッピーエンドに仕上げますっ!

 

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