ふたり≒ひとりぼっち〜after〜
悪い夢はいつも見る。
息苦しい感じが夢でも現実でも起こっている。
今の俺に救いの手なんてありはしない。
あるのならば俺はもう救われていただろう。
もし救いの手があるのならば…、今すぐにこの夢から叩き起こしてくれ…。
『…ネット…』
声が…聞こえたような気がした…。
…あれから泣き疲れて眠っていたらしい。
顔には涙が乾いて張り付いている。
「…怖い…。」
俺は布団に顔を埋めた。
温もりが欲しくて、求めるように埋めた。
「…何が怖いんだ…?」
上から降ってきた声に俺は慌てて体を起こした。
右目を真っ黒な前髪で覆った白衣の男…。
「…譜面…。」
掠れ声で呟くようにその男の名前を呼んだ。
譜面は俺のベッドに腰掛けて俺の様子をうかがっている。
「…俺が怖いのか…?」
冷たい光を映さない瞳。俺はゆっくり首を横に振った。
「…違う…。夢を…見るのが怖い…。」
震えていたから聞いたんだろう。
譜面の瞳は視点を逸らす事なく俺をずっと見つめていた。
「…母さんが…病に蝕まれていく夢を毎日のように見る…。
母さんの笑顔が消えていくのが…何よりも怖い…。
母さんが元気な時を知らないアンタは分からないだろ…?
あの人の微笑が…どれだけ俺や父さんの心を癒していたか…。」
母さんの微笑がこの世から消えた今、俺や離れて住んでいる父さんの心には空洞が出来ている。
譜面は黙っていたが、譜面の大きな手が俺の頭を撫でていた。
少しぎこちないが…、俺の頭を優しく撫でていた。
「…譜面…?」
「…お前は…、健気だな…。」
そう言って光を映さない黒い瞳を伏せた。
頭を撫でていた手は首を滑り背中へ移った。
「…オムレツ…不味くなんかなかった…。」
ぽつぽつと譜面の口から零れる言葉は、何故か俺の心を縛り付けていた蔦をゆっくりと解いていくようだった。
「…お前の辛い顔を…見て見ぬふりしていた…。…だが…、あの昨日の顔は…見ていて耐えられなかった…。」
…乾いていた涙が蘇る…。
乾いた跡に沿うように涙が流れる。
譜面は俺の涙を拭い取って抱き寄せた。
「…今日だけだからな…。」
とボソリと呟いたのが聞こえた。
俺は苦笑して頷いた。
譜面の心の中で凍っていた情が…、少しずつ解けているのかもいれない…。
謝って欲しい訳じゃない。
ただ、その奥に住まう温もりを分けて欲しいだけ…。
だからこれで良い。
一晩だけの親子らしい時間…。
その時間に懐かしい温もりを感じで俺は再び目を閉じていった…。
『…おやすみ…』
目を閉じる直前、譜面の唇がそう動いたのを見た…。
Happy end!
*コメント*
義理親子〜v
一応これでハッピーエンドです。
やっぱり譜面Tは『ゴメン』なんて言うキャラじゃないですよ。
なので『ゴメン』は無しです。というか、
『…オムレツ…不味くなんかなかった…。』
が『ゴメン』を表わしていると思ってます。
やっぱり温もりに飢えてるネットさん大好きですv
辛そうな顔してたり無理やり笑ってるネットさんとかっ!!
…あぁ…;;最近本当に甘いの書いてないような気がします;;
甘いの書きたい…。やっぱり符音&東麻じゃないとダメか…?!
…頑張ってバカップル書くぞっ…!!
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