朝日<2>

 

「美味〜いv」

さっきの雰囲気を忘れてしまう程のネットの料理。

ネットは俺に背を向けて食器を洗っている。

俺は毎日こんな美味い料理を作るネットを尊敬し、同時にこんな美味い料理を週3回食ってる指揮を羨ましく思った。

ネット…、良い嫁さんになれるなぁ…(違)。

俺が欲しいぐらいだよマジで。

洗い物が終わると休む間もなくネットは家計簿をつけ始めた。

「ネット、少し休憩してもいいんじゃないか?」

「…休憩するほど暇が無いんだ…。」

黙々と電卓を打つネットは、まるで指揮への思いを紛らわしてるようで、俺は少し胸が痛んだ。

指揮は俺が好きで、俺は2人が好き。

ネットは俺以上に指揮を思ってるし、俺の事も好きでいてくれる。

…難しいなぁ…。

俺は心の中で頭を抱えた。

家の事をしているその時でも、

「伸博、少し休憩したら風呂に入ってくれ。」

と俺の事を気にかけてくれる。

だからその気遣いが胸に痛くても、俺は笑って、

「うん。ありがとな。」

って答えるんだ。

そしたらネットが微笑み返してくれるから…。

 

体を適当に洗って湯船に浸かって100数えた。

寝間着に着替えてリビングに戻ってきた時、ネットはソファーで眠っていた。

…頬に涙の筋が出来ていた。

指揮の馬鹿。

こんなにネットが頑張ってるのは、今日俺が居るからとかそんなんじゃないだろ?

指揮と離れ離れだった時間を取り戻したくて、ネットめちゃくちゃ必死になってんだよ?

気付いてやったって…

 

「おやまぁ、寝ちゃったか。」

 

俺は声の主に驚いた。

寝ていると思っていた筈の指揮だったから。

 

<続く>

 

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