僕の学校の怪談〜地獄の3丁目にようこそv〜
毎年夏休みの全校登校日の夜に行われる肝試し大会。
校舎を病院のセットに変えた本格仕様。
だからそれから1週間は必ず清掃作業によって潰れる。
貴重な夏休みの楽しい時間が削られるから俺的にはちょっと嫌だ;;
俺はあみだくじで決められたペアの指揮と中央玄関の扉を開けた。
「…れ…?面仁華、何でここに…?」
「あぁ、僕は案内人だよ。
ようこそ…。これからあなた方の知らない世界にご案内しましょう…。
さぁ、勇気のある人は奥の診察室へどうぞ…。」
「診察室か…、じゃあ面仁華、行って来るな!」
「お大事に…クスクスクス(∞)…★」
こっ…怖っ…!面仁華怖いよぉ…!!
診察室までは血(もちろん絵の具)の付いた足跡がある。
本当に凝ってるなぁ…;;
中に入ると血まみれの部屋の中の女医…。
「いらっしゃいv」
「は?!どらむが何でここに居るんだよ?!」
「盤羅先生に頼まれて♪」
「(絶対何か仕組まれてる;;)」
「そっか。」
「指揮先生、先生には献血に協力していただきましょうか★」
「はいぃ?!」
「さぁブスッとね★」
どらむは注射器をおもいっきり指揮の腕に射した。
…やべ…リタイアしそう…;;
「う…うわうわ血摂り過ぎっ…!!」
指揮は慌てている。
「はい、お大事に★次は病室だからね♪」
どらむはばんそうこうを指揮に貼ると追い出した。
指揮の血が何か止まらないみたいだけど…?(汗;;)
「わ…悪ぃ…伸博…貧血が…;;」
指揮は廊下に座り込んだ。
「だ…、大丈夫かよ?!」
顔色悪いし…、別の意味で病室に連れて行かなきゃ…;;
病室はやっぱり暗くて誰か居た。しくしく泣いている。
「…お家に帰りたいよぉ…。…殺さないでぇ…。」
首と目に包帯を巻いている。右目の方は血が滲んでいる。
か細い声で助けを求めては泣いている。
「…見えないよぉ…苦しいよぉ…痛いよぉ…。」
その人は俺の腕を掴んだ。
「…足…足を…ください…。」
顔をゆっくりと上げる。…ん…?
「…光…?」
「…ば…場地先輩ですか…?…寂しかったですよぉ…!」
光はぐすぐすと泣きだした。
「…無理矢理…幽霊役を任されて…。
…おまけに目に包帯巻いてるから…とても怖くて…。」
光も可哀相に…;;顔色悪いからなぁ…;;
「あ、指揮を隣の空きベッドに寝かせて良いか?貧血なんだ。」
「…はい…。…あの…指揮先生が元気になるまで…手を繋いでてください…。」
俺は光の手を握った。血の気の無い光の手は冷たかった。
指揮も大分元気になったから俺達は病室を出る事にした。
「…次は手術室です…。あの…頑張ってくださいね…。」
「おう!琳ならもうすぐ来るだろうから待ってな!」
手術室の前には多数の脱落者が蹲っていた。
「ど、どうしたんだよ?!」
「…血…血まみれの…手術台に死体が…!!」
慌てて俺達は手術室に入っていく。
病室より血生臭い雰囲気の漂う部屋だ。
「ようこそ患者さん…。オペでも始めましょうか…?」
手術台は血を吸い込んで赤黒く染まっている。
(何度も言うけど血はみんな絵の具)
そして、その血が滴り落ちて波紋を作る。
「どうです?この患者さん(マネキン)も私のオペで手乗りサイズに…。」
「首チョンパしただけだろが!」
指揮がナイスなツッコミを入れた。
そこへ何やら刃物らしき物が指揮の横を通過した。
壁に刺さったのはメス…。まさか…;;
「盤羅!危ないだろうが!!」
「やっと気付いてくれましたか。嬉しいですよ★」
「伸博、早く此処から出よう。」
「何で?」
「仕組まれてる。」
「誰に?」
「いいから!」
分からないまま腕を引っ張られて手術室を出て行った。
「次って何処だっけ?」
「確かトイレだった筈だ。
脱落者も増えてきたからな、気を引き締めて行くぞ!」
「おう!」
トイレは鏡に罅が入り、やっぱり赤く血塗られていた。
俺達は1番奥の故障中のトイレの前で立ち止まった。
ドンドン!!
誰かが扉を激しく叩いている。
「…開けてぇ…出してぇ…助けてぇ…。」
トイレの中から声がする。俺は指揮の手をギュッと握った。
「心配するな。」
指揮は俺の手を握り返してくれた。
チカチカ!
今度は電気が点いたり消えたりの繰り返し。
あ〜も〜!マジで怖いってよぉっ!!
俺はもう半泣きだった。
すると指揮はわざと大声で大げさに、
「伸博…泣いてるのか…?可哀相に…。」
と言った。
そしたらドアの叩く音も電気のチカチカも収まった。
「さぁ、とっとと出るぞ。」
「う…うん…。」
…指揮ってスゲェ…!
あとは慰安室だけだ。
ガキみたいに指揮の手を握って慰安室までの廊下を歩く。
慰安室の前。その扉は固く閉ざされている。
(元は科学準備室だからどっちにせよ怖い;;)
「なぁ、何で鍵が掛かってんだろ?入るんじゃないのか?」
パチンと鍵を開ける音と共にドアが開いた。
が、暗くて何も分からない。
ヒタッ…ヒタッ…
誰かが慰安室から出てくる。血だらけの…あの足跡の原因…。
そいつは指揮の腕を掴んで、
「…お前もあの世(こちら)に来るが良い…。」
とボソッと吐いた。
…こっ…怖いっ…怖いよぉっ…!!
そいつはニヤリと笑うと慰安室に消えていった。
俺は硬直している指揮を引っ張った。
「な…なぁっ…!早く出口に行こうよ…!なっ…?!」
指揮の腕にはさっきの奴が付けた血(しつこいが絵の具)がべっとりと付いている。
俺は指揮の手をしっかり握り、出口らしき方向へ足を運んだ。
すると光と共にどらむのシルエットが浮かんだ。
「お兄ちゃ〜ん!こっちが出口よ〜!お蕎麦作ってるから早く早く〜!」
「マジで!?」
俺は指揮をほったらかしにして出口へ走った。
俺は何とかゴール出来た。
さっきまでの恐怖から開放されて安堵したからだろうか…、
俺はネットに抱きつき泣いた…。
「…にしても、結局ゴール出来たのはほとんど主要キャラとは…;;」
ん…?そういえば指揮…は…あれ…?
「しまった〜!指揮忘れてた〜!!」
指揮ってばまだゴールしてないのか?!
オロオロする俺の肩にネットは軽く手を置いた。
「心配するな。父さんは生命力も繁殖力もゴッキーを超えてる。」
ネット…指揮はお前の親父だろ…?
ちょっと酷くないか…?
ネットは深いため息をついて目を暗闇の方へ向け細めた。
そしてまたため息…。
「イテテテ…。何で床に穴が…ってかここ何処だよ?」
ひとりツッコミも程々に、俺は懐中電灯で辺りを照らした。
すると壁に何か書いてある。
なになに…?
『地獄の3丁目にようこそv』
「…はいぃ…?」
何だよ『地獄の3丁目』ってのは!?そんなの無かった筈だぞ!?
…やっぱりあいつ等に仕組まれてたのか…?
「「「フフフフフ…★」」」
…背後から聞き覚えのある声の不気味な笑い声が聞こえる…。
振り向くと、顔を懐中電灯で下から照らして怖さ倍増な、
盤羅と斉弦とどらむがニヤニヤわらっていた。
「「「いらっしゃい★」」」
盤羅のメスが光る。
「…う…うぎゃあぁぁ〜〜〜!!」
その日、俺は地獄を見た…。
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