愛(かな)し風鈴の歌
夕方になると少し風が出てくる。
その風が気持ち良いので僕は窓を開ける。
少し温かい風を受けていると聞こえる可愛い音。
「…風鈴だな…。」
僕の家に居候している氷上先輩が呟くように言った。
風鈴には色々と種類があるみたいです。
僕は江戸ガラスしか聞いた事が無いですけど…。
「…綺麗ですね…。」
「…あぁ…。」
僕は風鈴の音色に酔っていた。
氷上先輩も目を閉じて聴いている。
しばらくすると風が止み、風鈴の音はぱったりと止んでしまった。
「…綺麗でしたね…。」
「…そうだな…。」
僕は小さく苦笑した。
「…どうした…?」
「…風鈴は…風ととても仲が良いです…。」
氷上先輩は訳が分からないという顔をして首を傾げる。
それでも僕は話を続けた。
「…けど…、その風が強すぎると…風鈴は飛ばされ…、壊れてしまいます…。」
氷上先輩は僕の話を静かに聞いていた。
「…人も同じだと思うんです…。
…人は同じ人ととても仲が良いですが…、時には力が強く働いて…その仲間である人を壊してしまう…。
…実際に僕はそんな経験をしました…。」
顔見知りでは無い。
でも、僕は仲間である筈の人に声を潰された…。
長い間白い天井を見上げ、出ない声で必死に想いを訴え続けた。
「…人は風鈴であり風であります…。…そして…、壊れた風鈴は二度と綺麗な声で歌えない…。」
たとえあの悲劇から立ち直ったとしても傷は永遠に残る訳で、本当の美しい声で歌う事は二度と出来なくなってしまう…。
「…氷上先輩は風鈴でいてくれますか…?」
氷上先輩は静かに頷いた。
「…もしお前が風に壊されるようなら…、俺は風鈴であるお前にぶつかって壊れよう…。」
氷上先輩は僕の首に残る傷跡に口付けた。
翌日、僕と氷上先輩は風鈴を買った。
色違いのお揃いの風鈴。
それをぶつかって壊れない程度に間を空けて、
仲良く並ぶように飾った。
「…この風鈴は壊さないようにしましょうね…。」
「…そうだな…。」
夕方になって風鈴の『琳』と『光』は歌いだす。
愛しい人と寄り添って歌う愛の歌…。
E N D
*コメント*
まず先に言っておきましょう。
『ふっと思いついただけ』です。
そして、『愛し』と書いて『かなし』と読ますのは、私の好みですv
沖縄ではこう読むらしいんですよ。
あの『童神』にも歌詞であるように…。
風鈴と光君ってなんか似合うんですよね〜。
こう…なんというか儚い感じが…。
っていうか相変わらず琳×光は光視点でないと書けないようです;;
健気LOVE〜Vv
指揮Tの帰りを寝ずに待つネットも健気でLOVE〜Vv
…くはぁ…、愛しいです…v
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