蒲公英

 

もうすぐ母さんの命日。

だが、その日は今年は平日。

だから少し遅れて日曜日に墓地に出掛けた。

父さんは朝からどこかに出掛けている。

…誘って一緒に行こうかと思ったのに…。

「…また伸博でも追いかけてるんだろうな……と…。」

墓地の入り口で俺はそう思っていた人物を発見した。

静かに手を合わせる父さんの姿。

墓は綺麗で、花も添えてある。線香もまだ新しい。

父さんは肩を震わせていた。

何故かは近付かなくても分かる。

…泣いているんだ…。

俺は入り口から静かにその様子を見ていた。

すると、ここにもう存在しない母さんの姿が墓に見えた。

母さんは泣いている父さんを子供をあやすように包み込んだ。

背中を優しく撫で、額にそっと唇を寄せた。

顔を上げた母さんは入り口で突っ立ってる俺に気付くと消えた。

と思ったら後ろから押される感じがした。

姿は見えない。でも、母さんが押してるんだと分かる。

母さんに押されるがまま、俺は母さんの墓の前に向かった。

足音に気付いたのか父さんは顔を上げた。

「…ネット…。」

「…何で1人で行ったんだよ…。」

父さんは俯いた。

「…1人で勝手に墓参りするのは…ズルイ…。」

父さんは頷いた。

「…でも…、なんとなく理由は分かった…。」

俺に泣き顔を見せたくなかったんだ。

「…これからは…一緒に墓参りしよう…。」

父さんは俺を抱きしめた。

父さんは何も語らずに涙で濡れた顔を俺に埋めていた。

 

 

父さんに先に帰ってもらい、俺は母さんに話しかけた。

「…母さん…、死んでも父さんを愛してくれてありがとう…。」

もう姿の見えない母さんは何も答えない。

「…父さんに振り回されてばっかだけど…、とりあえず仲良くしてるよ…。…友達とも仲良くやってるから心配しなくて良いよ…。」

墓石をそっと撫でた。

墓石は夏の太陽に照らされて熱く熱を持っている。

「…これからも…俺達の事を愛して…見守ってください…。」

俺はタンポポの綿毛を置いて墓地を出て行った。

 

 

俺の気持ちと一緒に空へ舞えば良い…。

舞い降りたら芽を出せば良い…。

育ったら花を咲かせれば良い…。

咲けば母さんは微笑むだろう…。

タンポポのように柔らかく温かい微笑で…、また俺達を墓地で迎えてくれるだろう…。

 

E N D

 

 

*コメント*

少々変でした;;ガフゥ;;(吐血)

タンゴさんお久しぶりの登場〜v(…と言えるか?)

指揮Tのセリフが1つも無い〜!!(珍)

あ〜んなお喋りさんなのに珍しい;;

あ、だから台風が接近して…(違)

これ書いてる間ずっとAKITOさんの『遠すぎた空』を聴いてました。

イメージソングは一応それで…。

文中は『タンポポ』なのに何故タイトルは『蒲公英』か?

…タイトルぐらい綺麗なほうが良いでしょ!(言い訳;;)

 

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