良い子は悪い子で良い子

 

ボロボロなのは体だけじゃない。

心もボロボロなんだ。

それをしっかり分かってるアンタには、素直になっても良いかもな…。

 

生徒指導室のドアの前。

痛む頬を押さえて俺は座り込んでいた。

俺が騒動をやらかした後、必ずあの先生はここへやって来る。

校内で1番怖いと有名な『戸勝 風芽』が…。

「今回も派手にやられたな。」

「今回はやり返さなかったからな。」

お互い見つめ合って苦笑する。

「とりあえず入れ。消毒してやるから。」

俺は風芽に手を貸してもらって立ち上がった。

指導室に入るといつもの椅子に座る。

俺の向かいに風芽も座る。

「本当に派手にやられたもんだ…。痛いか?」

風芽は腫れている頬に触れる。

ズキンとした痛みとピリピリとした痛みが同時に襲ってくる。

「…っ…痛くない…。」

「まぁたそうやって強がる。『痛い』って言えばいいのに。」

風芽は消毒液の染み込んだ脱脂綿を頬に当てる。

「…〜〜〜っ…!!」

「ほぉら、『痛い』って言えよ。痛いんだろ?」

風芽は面白がっている。脱脂綿で頬を突いて遊ぶ。

…人の気も知らずにこの馬鹿生徒指導教師が…!!

「素直にならないと今日の晩飯、オムライスにしてやんないぞ?」

何っ!?

「ほぉら、マリアの大好きなオムライスが逃げていくぞ〜?」

…オムライスは俺の大好物だったりする…。

俺の口の中は今、唾液で溢れている。

風芽の作るふわふわでトロトロのオムライス…。

つぶつぶケチャップが良く合う風芽のオムライス…。

…もう我慢出来ない…!!

「…痛い…。」

「良く出来ました♪ほら、他に痛い所があるだろ?消毒してやるぞ。」

風芽は卑怯だ。

俺が言う事を聞かなかったらオムライスを餌にして言う事を聞かせようとする。

でも、別にそれは嫌じゃない。

風芽は俺の親よりずっと俺の事を理解してくれる。

俺の親よりずっと優しいし、ずっと楽しい。

それに、風芽は俺の事を好きでいてくれる…。

「…マリア?どうした?」

「…ん?別に。あ、腕も少し痛いんだ…。」

「了解♪」

静かな指導室。

俺の心の中で何かが生まれようとしているような気がする…。

温かくて優しい何かが…。

 

E N D

 

 

*後書き*

この2人のSSはお初ですね。

マリア君の好物がオムライス…v

オムライスはマリア君にとって御馳走なのです。

この好物がオムライスという設定は、

六甲のとある研修センターの近くのレストランで食べたオムライスが

物凄く美味しかったので付けましたv

あのナイフを入れたら半熟卵がトロ〜リのあれですよ!!

…もう1回食べに行きたいなぁ…。

あれを風芽先生が作るなんて…考えられませんが…;;

作れる事にしておいてください;;

 

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