POLICEの休日(朝)
高松警視総官が珍しく俺達に休みをくれた。
…どうしたんだろ?
別に警視総官が青ざめるような毒は吐いた記憶は無いんだけど。
村形さんには毎日吐いてるけど。俺の愛情表現だし。
親みたいに大切な人だからね、村形さんは…。
そんな訳で今朝は…いつもどおりに7時に起きた。
もう生活のリズムが体に染み付いて変えようがないみたい。
村形さんはもう起きていて、側で新聞を読んでいた。
「…今日のギアチャンネルの19時、番組何?」
「『スプリングベースボール・スクラップズVSアップデーツ』。」
「マジ…?『クイズ・スパイラル』が好きなのに…。」
俺はゴロゴロと布団の中で温もりと戯れていた。
村形さんは新聞を畳んで俺の頭を撫でた。
「起きれるか?」
「うん。一人で起きれるからその間にご飯作って。」
片足の生活も3年も経てば慣れた。
片足と両手を上手く使って起き上がる。
ジューッと何かを焼く音が耳に届いた。きっとベーコンエッグだ。
村形さんの得意料理は、ご飯の上にベーコンエッグを乗せる『目玉焼き飯DX』だから。
独身時代はベーコン買う余裕無かったから、『元祖目玉焼き飯』はベーコン無し。
でも、こんなに簡単じゃあ料理と呼べるかも微妙だなぁ…。
「出来たぞ。」
目玉焼き飯DXがテーブルに置かれた。
「わーい、ビンボー飯だー。」
わざと棒読みで毒を吐く。でも、手はしっかりとスプーンを握っている。
…でも、何かつまんないな。
…そうだ。
俺は口を大きく開けた。不思議に思った村形さんが問掛ける。
「…何してるんだ?」
「たまには雛に餌を与える気分を体験しない?」
訳:食べさせてください。
村形さんは意味を理解したらしく、山盛りのご飯を俺の口に突っ込んだ。
「味はどうだ?」
俺は必死にモゴモゴと口の中のご飯を消費する。
…くそー。こんな形で仕返しされるなんて…。
やっとご飯を消費した俺は笑って答えた。
「うん。ビンボーの味がする♪」
「あーそうかい。」
村形さんは俺の頭を乱暴に撫でた。
いつも仕事で、なかなか作れなかった二人の『親子』でいる時間。
本当の親子じゃないけど、優しい村形さんの目は父親の目だった。
「今日はどこか出掛けるか?」
「村形さんと布団の中でヌクヌクしたい。」
とことん村形さんを独り占めしたい。
でも、俺は知ってる。
俺と同じくらい、村形さんが独占欲強いって事…。
END
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