POLICEの休日(昼)

 

今日は盗みの依頼は無し。

普通の青少年に戻ってブラブラと散歩に出掛けた。

いつも夜の街の姿しか見てなかったから、昼の街の姿はなんとなく新鮮な感じがする。

太陽を感じたのも久しぶり。

…いつになったらこれが当たり前になる時が来るんだろうな…。

…うん。折角だから遠出をしよう。

俺は駅へ続く遊歩道を歩き出した。

 

「あ…。」

「ん。」

3段アイスを食べながら歩く透百合に遭遇した。

透百合の口の周りはアイスでベタベタだ。

…そういえばコイツ、昔っからアイス好きなのに食べ方ヘタクソだったなぁ…。

「顔貸してみ。その口の周りのアイス拭いてやるから。」

透百合は静かに歩み寄って顔を上げた。

俺は持っていたポケットティッシュで透百合の顔を丁寧に拭いてやった。

「…ありがとう…。」

しかし、油断出来ない。

アイスの食べ方がヘタクソって事は、お約束のアレをやるって事だ。

「あっ…。」

溶けたアイスがコーンに染み込んで滴を溢した。

透百合は必死にそれを舐めるが、まだ3段のうちの1段しか消費出来ていない。

「お前、前に言っただろ?カップに入れてもらえって。」

「…コーンも食べたい。」

「アイスの上に乗せたら同じだろが。」

「…コーンアイスは手で持ってこそ美味い。」

…ったく、頑固な奴め…。

「ちょっとこっち来い。」

俺は人気の少ない日陰まで透百合を引っ張った。

「俺も食べるの手伝ってやるから。」

透百合は不満そうだったが渋々了承した。

俺はモカとチョコチップのアイス、透百合はミントとチョコチップのアイスを必死に消費した。

…何でアイス食うだけなのにこんなに必死になってんだ…;;

「…ごちそうさま。」

食べ終わった透百合の口はやっぱり汚れていた。

俺は再び口をティッシュで拭いてやった。

「…ありがとう…。」

俺は腕時計をチラリと見た。

…今からじゃ遠出は無理っぽいな…。

「これから一緒にこの近辺ブラブラしないか?」

透百合はキッと俺を睨んだ。

「これ以上貴様とじゃれ合う気は無い。」

そして小さく、

「…気が狂う…。」

とつけ加えた。

揺らぐ気持ちが落ち着きのない指で分かる。

「…じゃ、俺はブラブラするから。」

「あぁ…。」

また明日の夜に会えると思うけど、その時はもう、今日のお前じゃないんだよな…。

少し残念だが、俺は透百合と別れた。

 

街は一気にうるさくなった。

 

END

 

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