POLICEの休日(夜)
「オラー!!打てっつーの!!」
少し狭い個室に怒声に近い叫びが響く。
ポリスの手にはメガホン。そして冷たいボディは、ポリスの体長に合わないサイズの法被を纏っていた。
僕はその様子を黙って見ている。
ポリスは野球が好き。
特に球界でも弱い事で有名な『西海スクラップズ』のファンで、試合の時は必ずテレビ越しに応援する。
「♪しーずーむーゆーうーひーにー、なーみだーとーあーせーぇで〜、ぬーれたーゆーにふぉーむは〜、
ひーかりーかーがーやーく〜、とーわのーせいしゅーんー、とわーのーこーこーろで〜、
うて!かーけろ!うて!かーけろー!せーいかーいすーくらーっぷず〜♪」
応援歌を歌って必死に応援するポリスは、普通の人間となんら変わり無い。
ポリス達ロボットには感情用の特殊な部品が組み込まれていて、悔しさとか怒りを僕等のように感じる事が出来る。
そして、感情豊かなポリスが僕は好き…。
『アップデーツ3連勝!!スクラップズ、連敗を食い止める事が出来ませんでしたー!!』
「だぁーっ!!また負けたしっ!!」
そう言ってポリスはベッドに突っ伏した。
「でも、好きなんでしょ?」
ポリスはゴロリと仰向けになって溜め息をついた。
「だってよ、あんなに弱いのに諦めずに頑張ってんだぜ?アレは俺も見習わなきゃなぁ…。」
確かに、僕も見習わなきゃいけない。
僕は体が弱いから毎日パトロールばかりだけど、少し頑張って広範囲を…
「あ、護は頑張らなくていいからな。俺が守ってやる。」
うぅ…;;釘を刺されてしまった…;;
ポリスの腕が、力強く僕を包んで抱き締めた。
「別に意地悪してんじゃねぇんだぞ?ただ、スクラップズの弱さとお前弱さが意味が違うから、だから守るって言ったんだからな。」
ポリスの優しさが嬉しくて、僕はポリスの顔にキスをした。
ポリスのボディが少し熱くなり、モーターの音が激しく鼓動を刻んでいた。
「護…。」
「じゃあ、これからもお世話になります。…なんてね。」
何度も僕はポリスにキスを浴びせた。
ポリスは照れて、くっつく僕をベリッと引き剥がした。
「…ホラ、明日もパトロールあんだから早く寝ろよな。」
僕達は仲良くベッドに横になった。
「おやすみ、ポリス。」
「おぅ。明日も7時に起こすからな。」
休日は誰かと親しくなれる長い時間をくれる。
皆は、誰と親しくなってるのかな…?
END
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