東西コンビと婚約者

 

今日は暮幸は日直や委員会で遅くなるらしい。

俺は何も委員会に入ってない為、グラウンド隅のフェンスで待ち合わせをする事になった。

フェンスの向こうはあのユピテル学園。

俺は婚約者のアイツと出会わない事を祈りながら暮幸を待っていた。

 

「おや、太郎じゃないか。」

 

…どうも神様は俺の味方ではないらしい。

金髪のポニーテールがフワリと揺らぎ、同じように揺れたやや長めの前髪から赤い目が覗いた。

「…『レン』…。」

俺は婚約者の名を呟いた。

レンは苦笑して俺を見つめている。

「君のお父さんはかなりお怒りになられているけど…、帰る気は無いんだね?」

「当然だ。」

俺は暮幸の事が好きだ。

暮幸以外の誰かを好きになるなんて有り得ない。

説得する為に帰る…なんて事もだ。

「僕は君を君の御両親のように手荒に扱ったりしないよ。」

「親を愚弄するな!!!」

益々レンは困った顔をした。

少し俺を哀れむようにも見えるような…。

「…君を苦しみから解放してあげるのに…。」

呟くようにレンは言った。

…レンは分かって言ってるんだろうか?

俺の苦しみ、全部知っててそんな事を言うんだろうか?

「太郎〜!!」

振り向くと暮幸が駆け寄って来る。

しかし、暮幸はレンに気付くと立ち止まった。

「暮幸…。」

「…太郎、ソイツ…誰?」

少し警戒するような目に、俺は慌てて説明した。

「コイツは…、その…、前に言ってた婚約者…。『高田 レンティノ』っていう…。」

レンは暮幸に微笑んだ。

暮幸は警戒を解かない。

「君が太郎が好きだっていう子か…。」

「太郎を迎えに来たのか?」

苦笑してレンは首を横に振った。

「いいや。…うーん…、説得は失敗みたいだから、僕はそろそろ帰る事にするよ。

今度はきっと…、太郎のお父さんも来ると思うから…、心の準備をしておいてね。」

俺達はフェンスから離れていくレンを睨みつけるような眼差しで見送った。

…暮幸が、俺の手を強く握った。

「太郎、大丈夫だから。」

「…うん…。」

短く返事を返したが、俺は不安でいっぱいだった。

親父がいつ来るか。

カウント出来ないカウントダウンが俺の中で始まった。

 

暮幸…、俺の事は守らなくていい…。

親父が迎えに来るその日まで、暮幸と楽しい毎日を過ごせたらそれでいいんだ…。

 

END

 

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