片足のPOLICE(それから)
彰は体調を崩してから飲み物しか口にしなくなった。
特別どこか悪い所は無いと医者から聞いている。
少し疲れが溜まっている程度だと。
だったら、何故彰はあんなに弱ってしまったんだ…?
「村形、元気が無いな。」
「高松…。」
「一緒に一休みしないか?」
高松に誘われ、俺は自販機まで向かった。
「流石に皆心配してたぞ。彰は休むし、お前は顔が益々怖いってな。」
「…ほっとけ。」
俺はホットコーヒーを流し込んだ。
彰は今朝も食べなかった。
念の為に野菜ジュースを置いていったが、そっちは飲んでいて欲しい。
「…彰が片足だからと、外の仕事をあまりさせなかったんじゃないか?」
「…………。」
図星だ。
片足ではロクに動けないだろうと、パトロールにも連れて行かなかった。
「パートナーなら信じて連れて行ってやれ。…もう家族の一人だろう?彰は。」
忘れかけていた約束がパチンと中で弾けた。
入院中のあの時、彰は片足を失った状態で辛いくせに笑って勝手に約束したんだ。
『リハビリ頑張るから、復帰したらまたパトロール行こうね。』
「…そうだったな。」
彰は俺の息子のようなものだ。
息子との約束を破るなんて親として失格だ。
「なら、今からパトロールでも行ってこい。…彰も連れてな。」
「あぁ。」
彰…、やっと約束を果たすぞ。
俺のパートナーは彰しかいない。
だから…、元気になってくれ…。
「あぁ、そうだ、彰の為に買った物があったんだ。」
そう言って高松は自販機の横の倉庫へ入っていった。
が、すぐに何かを持って戻って来た。
ポリスとは似ているが少し違うロボットだ。
「いつ使う時がきてもいいように充電しておいて良かった。」
高松がパチンと背中のスイッチを入れると、ロボットは目に光を宿し、言葉を話しだした。
「介護ロボット『ハッピーナース9955』略して『ハナ』、起動しましたです。」
介護ロボット…?
「高松…、これは…?」
「彰が元気にこの街を駆け回れるようにと思ってな。」
高松はハナの頭を撫でた。
「ハナは車椅子に変形する今注目のロボットだ。彰の立派な足になるだろう。
さぁハナ、この村形という男がマスターの所まで案内してくれるぞ。」
ハナは行儀良くペコリとお辞儀をした。
「村形様、よろしくお願いします。」
「あぁ。」
俺は車を出して彰を迎えに行った。
続く…
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