機械課のPOLICE達
2XXX年、世界的にロボット技術が進歩し、人間とロボットが平等に共存する時代となった。
しかし、人間はロボットと共謀して悪さをする事を覚え、新手の犯罪『ロボット犯罪』が急激に増加し始めた。
ロボット犯罪を食い止める為、警視庁は『機械課』を発足して対応するが、ロボット犯罪は減るどころか増加する一方だった…。
「村形さん!」
車椅子に乗った少年が俺に向かって走って来る。
彼は機械課の警視の彰。若いが、警視総官に頼られる存在だ。
3年前に事故で片足をなくしてから、彰は車椅子に変形する介助用ロボットをパートナーにしている。
「どうした?何か事件か?」
「もー、違うって!今日は結実(ユウミ)ちゃんのトコに行くんでしょ?早く行ってあげなきゃ!もう5時半だよ?」
結実とは俺の娘だ。機械課は仕事が多い為、アパートを借りて家族と離れて住んでいる。
だが、『月1ぐらい帰ったら?』と彰に言われ、毎月1回帰る事にしている。
「お前も一緒に来ればいいものを…。」
「言ってるでしょ?結実ちゃんが不機嫌になるからって。」
彰を一度連れていった事があった。
その時に結実に『お父さんを取らないでよ!!』と言われ、それ以来彰は結実に会うのを遠慮している。
…というか、拒んでいる。
「…分かった。」
彰は微笑んだ。
「…俺の事は心配しなくていいからね。」
そう行って俺に背を向けて進みだした彰を俺は捕まえた。
「…村形警視長?」
「お前は家族と同じくらい大切だ。それはお前が一番分かっている事だろう?3年近く一緒に住んでいたんだからな…。」
彰は小さく頷いた。
「…じゃあ、外まで送らせてよ。…村形さん。」
彰の車椅子を引きながら、俺は彰とコンビを組んだばかりの頃を思い出していた。
同期の高松警視総官に頼まれて、納得しないままコンビを組む事になった俺と彰。
子供だからとなかなか認めてもらえず、苦悩して無茶ばかりしていた彰を支えてやっていたあの頃。
「…村形さん、昔を思い出してるでしょ?」
「…あぁ。」
「昔ばかり引きずってたら早く老けますよ。」
…彰の軽く吐く毒舌ももう慣れた…多分。
「…あーそうかい。」
「でも…、」
と彰は付け加えた。
「…俺も、昔の事思い出してましたよ…。」
そう言って彰はうつ向いたが、隠しきれなかった笑みが横からのぞいていた。
END
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