微熱のPOLICE

 

「護、顔赤くねーか?」

相棒のロボット『メタポリス(通称:ポリス)』に言われて、僕は熱った頬を押さえた。

「別に…なんともないよ?」

「嘘吐け。今体温計ってやるよ。」

ポリスの手が額に触れた。

毎日やってもらってる事だけど、この体温計だけはいつもドキドキする。

「…38度。ハイ、さっさと寝る。」

少し苛立った口調で言いながら、ポリスは僕をベッドへ押し倒した。

…ポリス、かなり怒ってる…?

「じゃ、今からオッサンとこに報告してくっから、ちゃんと布団被って寝てろ。」

「あ…」

何も言えずにポリスは部屋から出て行ってしまった。

ポリスの言うオッサンとは…多分村形警視長の事。

ポリス、口が悪いからなぁ…;;

ポリスは毎日僕の体調を村形さんに報告している。

それで、僕の今日のスケジュールが決まる。

僕はベッドに潜り込んでおとなしくしていた。

 

目が覚めると外も部屋も暗くて、側にあった机の電気スタンドだけが部屋を頼りなく照らしていた。

…寝ちゃったんだ…。

「腹減ってないか?」

ビックリして声のした方を向くと、ポリスが電気スタンドに照らされていた。

「彰が卵粥作ってくれたんだ。食うなら起こすぞ。」

ポリスの声は優しく、大きな手で僕の頭を撫でた。

「大丈夫…。自分で起きるよ。」

まだグラグラする頭を押さえながら、僕は上半身を起こした。

ポリスは黙って温めなおしたお粥をお茶碗に装ってくれた。

「ありがとう…。」

お粥を口に入れると鰹節と卵の味が口の中に広がった。

…やっぱり、彰さんの料理は美味しいな。

「あ…、あのよォ…護…、」

「ん…?何?」

「…その…なんつーか…、…悪かったな、冷たくしてよ…。」

僕は首を横に振った。

「ポリスは悪くないよ。自分で体調管理も出来ない僕がいけないんだから…。」

ポリスの冷たいボディを撫でると、その手をポリスが力強く掴んだ。

「んな事ねーよ!…護の事大好きなのに、体の事ひとっつも分かってねぇ俺が悪いんだよ!」

僕の顔は風邪とは別の熱で熱くなった。

「…うん。じゃあ…、お互いの不注意…って事にしようか。」

「…お前、その顔反則だっての。」

腹ごしらえもそこそこに、僕はポリスを抱いて横になった。

「おやすみなさい、ポリス…。」

「あぁ。」

明日は元気になれたらいいな…。

 

END

 

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