Music Battle 第3話〜朝の職員室〜

 

伸博と別れた後、俺は職員室へと足を進めた。

職員室は1階の中央玄関を左に曲がってすぐだ。

 

…コンコン

 

「失礼します。」

ドアを開けると香るコーヒーの香り。

職員室はどこもこんな香りがするんだろう。

「お、ネットじゃねぇか。おっはー。」

軽いノリの紫髪の先生。

吹奏楽部の顧問『美舞羅 符音(びぶら ふおん)』先生だ。

「今日も指揮先生に愛妻弁当か〜?(笑)

お疲れさんだな♪指揮先生ならそこで譜面と一緒だぞ。」

「ありがとうございます。」

そう。俺がここへ来たのは父親である指揮に弁当を届ける為。

そして、ある一人にも弁当を作ってきている。

「父さん…と譜面、弁当持って来たから…。」

「おー、ネット。いつも悪いな。」

子供のような笑みで父さんは弁当を受け取る。

譜面も何も言わないが、受け取るだけ受け取った。

 

指揮家はとても複雑だ。

この高校の学校長が俺の祖父にあたり、

学校長の息子が父さんと譜面。

だけど、譜面は小さい頃に親戚の養子になって、

父さんは母さんが死ぬ数ヶ月に離婚した。

母さんは離婚した後譜面と再婚して、

今は俺と譜面が義理の親子関係となっている。

だが、譜面と俺は仲が悪い。

だから譜面の事を『義父さん』と呼ばない。

今の所、父さんの家に週3回ほど帰る日が続いている。

やっぱり俺の父さんは『指揮 司』なんだ…。

 

ピタッと何かが額に当たった。

譜面の冷たい手が当てられたのだ。

「…何してるんだ…?」

不機嫌そうに問いかけると、

「…お前がいつも無理するから熱を測っただけだ…。」

と譜面が答えた。

普段されない事をされて、俺の顔が熱をあげるのが分かった。

そして父さんも俺の額に手を当てた。

「…ん、熱は無いな。

いつも弁当を作ってくれるのはありがたいけど、

自分の体、もうちょっと考えてやろうな?」

父さんの父親らしい優しい微笑み。

俺の顔はますます熱を上げて、顔を上げる事が出来ない。

「っ…もう行くからな…!!失礼しましたっ!!」

俺は逃げるように職員室から出て行った。

 

…そんなに優しくするなよ…。

本気に考えてしまうから…。

 

 

<続く>

 

*コメント*

あはは〜。恥ずい恥ずい〜(笑)

ネットが乙女だ〜;;

はやいとこどうにかしなきゃねぇ?

ま、料理出来るのが羨ましいですな。

料理の出来る人ってやっぱ良いわ。

何か地に足が着いてるというか…そんな感じ。

私はチョコ系が精一杯;;

ブラウニーとか。

ネットさんは和食好きだから和食得意だけど、

他ならドイツの家庭料理とか上手な設定です。

が、ドイツの家庭料理って何も知らない…;;

何かパンでなかったっけ…?

うーん…。

 

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