温度 −Pattern1. 屋上−

 

屋上はサボりの楽園。

特に交響高校に至っては、だ。

ずっと昔から鍵の壊れた屋上。

直す気は無いらしい。

まぁ、あの校長だからなぁ…。

そう思いながら、俺『場地 伸博』は屋上からの夕日を、ボーっとじーっと見つめていた。

隣にはネット。同じく夕日を見つめている。

こうやって2人でいる時の沈黙って、結構好きかも。

いつも色んな奴等に絡まれて、欲しかった落ち着く時間を、ネットが自然と与えてくれる。

でも、ネットは時折悲しそうな顔を俺に見せる。

今日もその日だった。

「な、ネット、今何考えてる?」

視線だけを俺の方へ移すネット。

その目に昔あった人を拒絶するような眼差しは無い。

だからといって、優しい眼差しでもない。

何も考えてない、無気力の眼差し。

だけど、うっすらと悲しい顔をしていた。

「…何も…。無心になりたい時は誰だってあるだろう…?」

「そりゃそうだけど…。」

馬鹿ネット。

ちゃんと悲しい顔隠せてないし。

全然無心になってないじゃないか。

「…ほーんと、馬鹿。」

「…え…?」

俺の発言にネットが視線だけでなく、顔ごとこちらに向けた。

「顔に出てる。『悲しい』って。」

ネットは自分の顔に手をやった。

…わぁ、可愛い。

「…感情を隠すのは得意だったんだがな…。」

「親友の前だからじゃない?」

「あぁ……。」

そう。親友になる前、友達の時は感情を隠していた。

まだ、心のどこかに不信感があったからだと思う。

ネットの事だし。

俺はあの手この手でネット本人からネットの事を聞きだした。

そして分かった複雑で泥沼な家庭。

聞いた時は悪いことをしたと思った。

どうしても聞きたくてしつこかったところがあったから。

でも、もう聞いてしまった。

だから、俺はネットの心を守ってやりたいと思うようになった。

「俺さ、ネットが悲しい顔するのヤだな。」

ネットは少し俯いた。

「…少し母さんを思い出しただけだ…。」

「ホント?…ならいいけどさ…、ホントにツライ時とか、俺に言えよ?」

ネットはすまなそうに、「…ありがとう…。」と笑って礼を言った。

 

あの時コツンと触れたネットの肩、ちょっとだけ冷たかった。

ネットの心の氷は…、どれくらい解けたんだろうか…?

 

 

*言い訳*

 

これ作ってる時に、酸素吸入の会社の定期点検の電話が入って、何か来るらしい事言ってたので焦って切り上げ;;

本当はもっと悩んでるというか、考え事してるんですけどね;;

 

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