Squall

 

「ネット〜;;雨宿りさせて〜;;」

ずぶ濡れで玄関に現れたのは伸博。

制服はすっかり水分を含んで重そうだ。

外はバケツをひっくり返したような大雨。

まだしばらく止みそうに無い。

「バスタオルを取って来るから、上がって待っててくれ。」

俺は濡れて張り付く前髪をかき上げながら洗面所へ向かおうとした。

「あれ?ネットも濡れてんの?」

「あぁ…。買い物の途中で降られてな…。」

「ふーん…。ネットでも傘持ってくの忘れるんだ?」

どういう意味だそれは…。

「晴れていたから大丈夫だと思ったんだ…っくしゅっ!」

俺のくしゃみに伸博は苦笑した。

「あはは;;体冷えちゃった?」

「あぁ…。とにかく待ってるんだぞ。

バスタオル取って来るついでに風呂も沸かしてくる。」

俺はバタバタと洗面所へと向かっていった。

寝室のタンスから伸博が着れそうな着替えと、

俺と伸博の分のバスタオルを洗面所の棚から取り、

風呂場へ向かうと、譜面が風呂を沸かしていた。

「…譜面?」

「…いつまで体を冷やしてるつもりだ…。」

俺が持っていたバスタオルの1つを取り、俺の頭をグシャグシャと拭いた。

あまりに雑で、目を開けていられない。

「…風邪を引いたら…なかなか治らないんだからな、お前は…。」

父さんにも言われた事のある言葉。

少し懐かしい気分に鼓動が早くなった。

「…伸博に早くタオル持って行かないと…。」

「…あぁ…、そうだったな…。」

ようやく譜面は手を止め、俺を解放した。

そして冷えている俺の体に着ていた白衣をフワッと被せた。

「…もうすぐ風呂が沸く…。温まっていくように伝えてくれ…。」

「分かった…。」

俺は浴室から出て行き、玄関へと向かった。

途中、伸博の大きなくしゃみが聞こえた為、やや小走り気味に速度を上げて…。

「すまない…、遅くなった。」

「あ、うん、別に大丈夫。」

と言いつつもやはり濡れたままの伸博は寒そうで、

俺は譜面が俺にしたようにバスタオルで伸博の頭を拭いてやった。

…多分、俺の方がもっと丁寧だったと思う。

「…えへへ。」

「…何だ?」

「いや、ネットが嬉しそうだからさ、俺も嬉しくて。」

「…まぁ…な…。」

流石、伸博にはお見通しというか、鋭いというか…。

…負ける…。

「…譜面が風呂を沸かしてくれてる。沸いたら先に入ってくれ。」

「ん?ネットは?」

「俺は夕飯を作ってから入る。」

「えー?」

伸博は不満そうに頬を膨らませた。

…頼むからそんな顔をしないで欲しい…。

「ネット風邪引くのヤだからネット先に入れって!」

「俺だって伸博に風邪を引いて欲しくないから…」

「俺は引いてもすぐ治すからいいんだって!

ネットは引いたら1ヶ月引き摺っちゃうだろ!?」

「なっ…、お前にまで言われたくない!!」

「もー!いい加減折れてネットが先に入れってばー!!」

「だから伸博が先に入れと…」

 

「…お前達…、一緒に入るという選択肢は無いのか…?」

 

…振り返ると譜面が呆れ顔で俺達の様子を見ていた。

「にゅう〜。」

シャーレも退屈そうな声を上げている。

「い、一緒に…?」

伸博は顔を赤くした。

「…修学旅行で一緒に入った仲だろう…?」

「だって、それとこれとは…」

「…それに…、さっき兄さんに場地が来てると電話したし…。」

何…?

俺の防衛本能(?)やら母性本能(?)が音を立てて起動するのが分かった。

父さんが来たら絶対伸博を追い回す。

…というか、伸博が帰れない状態になる。

絶対に伸博を守ってやらなければ…!

「…伸博、入ろう。」

「は!?」

「父さんが伸博が入浴中に入ってきたら嫌だろう?」

「え…、まぁ…そうだけど…;;」

「だったら今すぐ入ろう。時間が無い。」

「えっ?えっ?えっ?」

俺はネットの腕を引っ張って浴室へ向かった。

 

 

「…全く…ああ言わなければ動かないなんて…、まだまだ若いな…。」

…本当に兄さん呼ぼうか…。

こうやって馬鹿なやり取りをするのも、それを見るのも楽しいいからな…。

…なんて、そう思えるようになったのは、俺の中での大きな成長だな…。

 

 

「ふいー…。」

ネットが一緒に入ろうと言った時はビックリしたけど…、

ネットは指揮が俺にちょっかいかけてこないように守ってくれただけなんだよな。

それは嬉しいからいいんだけど…、

「…なぁ…、湯船の中で寝るなよネット…;;」

これじゃのぼせるし、風邪も引いちゃうし…。

…やっぱり俺が1人で先に入るべきだったのかなぁ…?

その方が風邪引くだけで済んでたかもしれない…。

っていうか…、ネットを支えるのが精一杯で俺も上がれないんだけど…;;

「うぅ…;;譜面ー!ネット運ぶの手伝って〜!!」

 

ちなみに、指揮が来るっていうのが嘘だって知ったのは翌日の事。

もちろんネットは怒ったし、譜面からシャーレを1週間取り上げた。

ひたすら譜面が謝ってるあの光景は、何かレアだったなぁ…。

 

*コメント*

 

…MB書くのかなり久々…;;

リハビリ作となったコレですが、なんともセリフの多いSSになってしまいました;;

しかも雨が絡んだのは最初だけのような…。

ネットは疲れてたらどこでも寝れそうです。

疲労ゲージがMAXの時になったらパタッ…みたいな(笑)

そういえば、SSの譜面はネットが嫌いだったり好きだったり色々ですが、

それは話の時期の問題でそうなってます。

ネットと仲直りらしい話もいくつかありますが、

あれは一時的に…みたいなものです。

複雑すぎてゴメンナサイ;;

書いてる本人だけ楽しんでるっぽいです(苦笑)

 

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