手を繋ぐ

 

小さい頃、1度だけ繋いだ。

本当に1度だけ。

親父と御袋に手を繋いでもらった。

赤ん坊の時にもあったかもしれないけど、俺の記憶にあるのは1度だけ。

親父が…昔のままの人だったら…、今も手を繋いでくれただろうか…?

 

「お前の親父さん、来ないな…。」

指揮が俺にポツリと話しかける。

今日は三者面談。

だけど…、俺の親は来ない…。

「もう少し待つか?」

「いいよ別に。…悲しいけど…、いつもの事だし…。」

いつも忙しくしてる両親。

金にしか執着しない両親。

小さい頃から思っていた。

『…ナンデ人ヲ愛サナイノ…?』

こんな時に疼く背中の傷…。

俺はじっと耐えて強がっていた。

「指揮…、ゴメンな。折角無理言って最後にしてもらったのに…。」

「別に良いんだって。面談の間部活無いし、変えてもらった奴も大丈夫って言ってたしな。」

「うん…。」

時々指揮と俺の親父を比べる。

指揮は変態だけど、優しくて温かい。

授業を教えてる時の目は厳しいけど、でも生徒全員の作品の完成を見守っている。

親父は…、厳しくて冷たくて怖い…。

目はこっちの骨の芯が冷えそうなくらい冷たい。

いつもその目は命の無い金の方に向いていて、命を持つ人の方を向いていない…。

「伸博…?」

「あ…。」

じっと見つめていたのがバレたみたいだ。

俺のとっても不自然な行動に指揮も首を傾げている。

「ボーっと俺の方見て…、大丈夫か?」

「うん。平気平気;;ちょっと考え事だよ。」

「…まぁ良いけどな。そろそろ帰らないか?家まで送ってやるぞ。」

「あ、うん。サンキュ。」

 

教室を出て、俺は校内の駐車場へ足を運んだ。

外はとても寒い。

「伸博ー!」

指揮がダッシュでこっちに向かっている。

「遅いって〜;;」

「悪い悪い;;親父に呼び止められてな;;寒かったろ?ホイ。」

指揮が巻いていたマフラーを俺にかけた。

「…温かい…。」

「ほら、早く乗れよ。車の中の方が温かいだろ?」

指揮に背を押され、俺は助手席に座った。

指揮も席に座り、エンジンをかけアクセルを踏む。

「ンじゃ発進〜!」

「…ノリノリだな、指揮。」

俺はテンションがずっと下がったままだ。

「…伸博…、」

「…ん?」

「俺はお前の親父さんの家に怒鳴りに行っても構わないぞ。」

「…は…?」

指揮の突然の発言に俺は間抜けな声を出した。

「大事な息子の事なのに来ない親がいるかフツー!?

教師として、父親として、俺はお前の親父さんがムカつくんだ!!

警察に許されるんなら殴り込みもするぞ!!」

指揮の言葉は遊び半分の言葉じゃなかった。

ネットを息子に持つ1人の父親として怒っている…。

…嬉しかった…。

「…でもいいよ。気持ちだけで充分。それだけで俺は元気になれたから…。」

それから俺は指揮にお願いした。

「少し手前で止めて欲しいんだ。それで…、家の前まで手を繋いで歩いて欲しいんだ…。」

 

END

 

 

*コメント*

にゃはー;;指揮v場地〜;;

苦し紛れ〜;;

何も言わないで〜;;

私も何もコメントする事ありません〜;;

 

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