時に塩っ辛く、時に甘ったるく(後編)

 

「…なあ指揮、」

「んー?」

屋上。

観念した伸博を抱いて俺はご満悦だv

これで1発ヤらせてくれたらどんだけ嬉しいか…。

…と、何かそういう雰囲気じゃないっぽいな…。

伸博が少し不安そうな顔をしている。

「どうした?伸博。」

「うん…。最近ネットが元気なくてさぁ…、何か気になって…。」

「ネットが?」

そういえば最近部活見てやってないなぁ…。

伸博追うのに必死で。(最低)

「指揮、最近ネットに構ってやってる?」

「………………;;」

ギクッ;;

…スンマセン…;;構ってやってません…;;

黙ってたら図星と見抜かれた;;

「…ネットさ、俺と指揮の関係スッゲー応援してくれてるだろ?でもさ、そのままじゃネットが不幸じゃねぇ?」

…コイツってば自分の事は鈍いのに人の事になると鋭いよなぁ…;;

でも、伸博の言う事は正しくて、俺は益々黙り込む。

「とにかく!今日はネットとちゃんと家族会議しなよ。ヤるヤらない以前の問題だ!」

はうっ…;;そこまでお見通しだったのねー;;(涙)

 

「…今日は色々相談のってくれてありがと…。」

「…あぁ…。」

空が少し朱く染まりかけている。

今から買い物へ出かけて夕食の準備が済む頃には、きっと父さんが帰ってきている筈…。

「あ…、コレ御代な。」

そう言って俺は譜面に軽く口付けた。

譜面は目を丸くして突っ立っている。

…ちょっといきなりだったか…?

…まぁ、良いか。

俺は買い物メモを片手に学校を出た。

 

…遅くなってしまった…;;

まさかスーパーの試食コーナーで足止め食らうとは…;;

あのオッサンしつこいんだまったく…;;

俺はため息をついて玄関のドアを開けた。

するとリビングには、まだ帰って来ていないと思っていた父さんが座っていて、黙々と新聞を読んでいた。

「と…、父さん…?」

「お、お帰り。」

父さんはにっこり笑って手招きをする。

ワケが分からないが、

とりあえず買い物袋を置いて父さんの隣に座った。

「何…?」

「寂しかった?」

「……!!」

肩を掴まれ、ぐっと引き寄せられる。

温かい腕が俺の背中を温めている…。

「ごめんな。お前ほったらかして伸博ばっかり追っかけてた。」

耳元で囁かれた言葉に俺はゾクリと震えた。

「…仕方ないだろ…。父さんは伸博好きなんだし…。」

腕を振りほどいて夕食を作ろうとした俺を父さんはまた掴む。

そして俺はまたソファーに沈む。

今度は押し倒されて…。

「それでお前はどーすんだ?お前に別の相手がいる訳でも無いだろ?

それに、俺はネットの事、伸博と同じぐらい好きだっていつも言ってるだろ?」

「…口だけかと…。」

「ひっど!!」

…事実じゃないか…。

何度言って何度それを破ったと思ってるんだ…;;

「…まぁ、これからはちゃんと信用してくれよ。だから今晩お付き合いしてVv」

…この変態親父っ…;;

「…今日だけなんだからな…。」

「はーいVvえへへ〜vネット可愛い〜Vv」

そう言って抱きつくわキスするわ、今晩俺はめちゃくちゃにされた。

…しかも結局夕飯食べてないし…;;

 

あぁ…、でも何故か心が軽くなった…。

 

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